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「Skhole」のロゴが生まれるまで。デザイナー清水艦期が考える“余暇と学び”

2025年12月22日にオープンした「Skhole by JDN(スコレーバイジェイディーエヌ)」の顔となる、大事なロゴを手がけてくれたのは、グラフィックデザイナーの清水艦期さんです。

余暇を意味する「Skhole」という言葉に、どのように学びのイメージを重ねたのか。点と点がつながり、発見へと広がっていく清水さん自身の“学び”の考え方とともに、ロゴに込めた想いをうかがいました。

繋がる出会い。作品に宿る清水さんのデザイン哲学

――まずは清水さんの経歴について教えてください。

長岡造形大学を卒業後、広告制作会社のアドブレーンなどのデザイン事務所を経て、相楽賢太郎さんが代表を務める「POLARNO」に4〜5年所属していました。2022年に独立し、ちょうど3年ほどになります。

清水艦期 グラフィックデザイナー/アートディレクター。1990年生まれ、長野県出身。長岡造形大学卒業後、数社のデザイン事務所を経てPOLARNOに所属。2022年1月に独立

――ご自身で印象に残っているお仕事を教えてください。

東京・阿佐ヶ谷にある釣り堀「釣り堀寿々木園」のデザインが印象に残っています。クライアントの方とも良い関係が築けていて、ロゴまわりからグッズ、ポスターまで幅広く手がけています。最近話題のドラマ『ひらやすみ』でも主人公のアルバイト先として登場して、ロゴが映り込んだときはとても嬉しかったです。

清水さんがデザインした、「釣り堀 寿々木園」のロゴ
ロゴデザインからはじまり、グッズデザインなども担当している

――そもそも、このお仕事はどんなきっかけでスタートしたんでしょうか?

宣伝会議のアートディレクター講座の卒業制作で、勝手にロゴをつくらせてもらったのがきっかけです(笑)。一応つくる前に許可はいただいたんですが、SNSに載せていたら後を継いだ息子さんが見つけてくださり、「使っていいですか?」と声をかけていただきました。課題でつくったロゴがそのまま採用されて、そこからお付き合いが続いています。

――なるほど、そんなこともあるのですね。ほかに印象的な作品はありますか?

大学の同級生が立ち上げた映像制作会社「BFF」のロゴとWebサイトのデザインですね。自由につくっていいと言われたので、自分の好きな世界観と、代表に対して僕が持っていたイメージを掛け合わせました。

映像制作会社「BFF」のサイトデザイン

Fの文字がさまざまなパターンに変化していく可変式のロゴなんですが、こういった遊びのあるデザインが好きなんです。この作品をきっかけに新しい依頼もいただけたので、とても大事な経験になりました。

――テーマは自由なほうが得意ですか? それとも制約があったほうがデザインしやすいですか?

制約があるほうが断然得意です。その中でどう遊ぶかを考えるのが好きで、むしろ制約があればあるほど名作が生まれると思っているくらいです(笑)。

“暇の色”とは?「Skhole」のロゴに込めた想い

清水さんにデザインしていただいた、「スコレー」ロゴ

――今回この「Skhole」のロゴをデザインしていただきましたが、最初は依頼させてもらった際は、どんな印象でしたか?

正直に言うと、難しいなと思いました(笑)。「Skhole」は余暇を意味する言葉で、一方でサイトのテーマは“学び”。近いようで遠い概念なんですよね。余裕や軽やかさのイメージをどうロゴに落とし込むか、最後まで悩みましたね。

――デザインの鍵になった要素はありますか?

ひとつは“点と面”です。自分なりに「学ぶ」ということを紐解いてみたときに、「点と点(知識)が集まって、それらがある瞬間に繋がることで、面(発見)が生まれること」だと思いました。そのイメージをロゴのモチーフにしています。

――色も最後まで一緒に悩んだくださいましたよね。

はい。実は最後に色の相談をしていただいたことで、急に腑に落ちたんです。僕の中では“暇の色”がブルーグレーだったんですよね。家族や友人にも「暇の色って何だと思う?」と聞いたんですが、みんなバラバラで(笑)。

でもブルーグレーという提案をいただいて、「それだ!」と。パキッとした色ではなくちょっと曇りの日のような、落ち着きのある色。穏やかな印象があってしっくりきました。

――仕上がりにはどんな手応えがありましたか?

最後の段階で一緒に色を決めていくことで、「これだ」と思える形になった実感があります。提案もたくさんいただけて、一緒につくり上げた感じがとてもありがたかったです。

尊敬する人の言葉が学びに。デザイナーとしての思考と日常

――Skholeは“学び”がテーマですが、清水さんにとって学びとは何でしょうか?

僕の場合、本を読んでも知識にはなりますが、あまりピンとこないんです。それよりも、尊敬している人や身近な先輩に指摘してもらったり、アドバイスを受けたりすることではじめて「自分ごと」になる。だから、人から学ぶことが一番身に付くように思います。

――経験から染み込むタイプなんですね。

そうですね。振り返ると、一緒に働く人が良いと言うもの、悪いと言うもの、いまハマっているもの。そういう話をそばで聞いたり、見たりすることで成長してきた気がします。

清水さんがデザインしたオリジナルのキャラクター

――クリエイターにとって“学び”は必要だと思いますか?

フリーランスになってから、社外の方と話す機会が増えたんですが、会話についていけないことが結構あります。話題も単語も、自分が知らないことが多くて…。そのたびに「もっと勉強しておけばよかった」と思います。ただ、本を読めば身につくというタイプでもないので、やっぱり経験の中で学んでいくしかないかなと思っています。

――これから挑戦したいことや、学びたいことはありますか?

デザインの歴史をさらに深く学んでみたいです。そうしていくことにより美術史や印刷の歴史にも繋がっていくと思うので、数珠繋ぎのように新らしい学びを増やせていけたらと思っています。

■Skhole by JDN(スコレーバイジェイディーエヌ)
https://skhole.japandesign.ne.jp/

■清水艦期さん
https://shimizukango.com/