あの日の追憶

205×270×41mm リソグラフ・コプト製本 紙、刺繍糸
星山楓/造形学部 デザイン・造形学科 グラフィック・プロダクトデザインコース
あの日の追憶
あの日の追憶
あの日の追憶
あの日の追憶

時短や効率が重視され、無意識に「楽」を選んでしまう便利な今。あえて時間と手間をかけた「ものづくり」に価値はあるのか。
本研究では、グラフィック表現に加えて、印刷、製本技法それぞれに着目して探求し、全ページリソグラフ印刷、手製本のアートブックを制作した。外部に頼るのではなく、自らの手ですべての作業を行うことに意味を見出し、そこから生まれる「あたたかさ」や「豊かさ」を伝えることが本研究の目的である。
アートブックのテーマは「記憶」だ。
「祖母の死」と「就職活動」を経て過去をふりかえる機会が増えたことをきっかけに、記憶の片隅に残る、なんてことない光景やささいなできごとをモチーフにグラフィックを制作し、文章を添えた。
「いろんなことがあったけれど、全て愛おしい日常だった」と、読者自身が過去をふりかえり、肯定するきっかけとなることを目指した一冊だ。
印刷には、版のズレや色のかすれが特徴のリソグラフを。製本には、本の構造がむき出しとなる装飾性の高いコプト製本を採用した。手作業の痕跡が残るこれらの技法は作品自体のあたたかさを演出するとともに、作業に費やした時間の豊かさを伝える重要な要素となっている。

第56回 文化学園大学 造形学部 卒業研究展の作品一覧