私が生まれ育った青梅市には劇場ホールが1つもない。音楽活動が盛んな地域でありながら、練習、発表の度に他の市の市民ホールを借りている現状に私は疑問に感じた。練習と発表を同じ場で行える環境があってはじめて、誰もが最高のパフォーマンスを発揮できる。しかし、青梅市に限らず専門のホールが市民の身近な存在として日常に開かれた存在ではあまりないことも、今はまだ大きな問題である。
日々留まることなく魅力的な総合芸術が生まれ続ける場に、年齢、性別、障害の有無に関わらずまるで散歩をするようにふらっと足を運べる環境があったなら、日々の生活がもっと情景豊かになるのではないだろうか。そんな想いの中で設計したこの劇場ホールで、青梅の美しい多摩川や豊かな緑の魅力、劇場でしか味わえない体験を全身で浴びてほしい。そして今は少子高齢化、過疎化が進む青梅市を芸術文化の中心のまち「淵藪」として、かつてのように人と活動が集う賑わいあるまちへと変えていきたい。