[最優秀賞]
人は探究心と不安との狭間でワクワクすることがある。山に入ると見えるものと見えないものがあり、自然と五感が鋭敏となる。ここに描かれた表象は、石和田が山で遭遇した様々な生き物たちである。ただ見えなかったクマは彼の脳裏で「すぐ近くに居るのかも」という疑念の存在となった。同時に見えない世界を散策している自身の存在からも現実感が薄れ、心地良い不安感が増幅した。
そのような未知の世界への好奇心がカラフルで、躍動感のあるタッチとダイナミックな構成で描かれ、石和田の造形力が遺憾無く発揮されている。彼は普段から数々の山歩きをし、フィールドワークを重ねる体験から、自然の持つ豊穣で畏敬のイメージの虜になったに違いない。紛れもなく彼の行動力と集中力が、オリジナリティーに溢れた世界像の集大成となった。